水タバコは肺がんになりやすいのかについて解説

近年流行しているシーシャこと水タバコは非喫煙者でもむせずに楽しめるため、若者を中心に話題を集めお店も増えてきています。
しかし水タバコは嗜好品なので、吸いすぎによるリスクは確実に存在します。
今回は水タバコによる健康リスク、とくに肺がんに着目して解説します。
水タバコは肺がんになりやすい?

まずは水タバコと肺がんとの関連性について解説します。
水タバコの健康への影響についてはまだ詳しい研究がされていない
水タバコによる健康への影響は、実際のところわからないことや不明点が多いです。
紙巻きタバコとシーシャを比較して有害物質が何倍かの研究はいくつかあるものの、吸う回数も吸う時間もまるで違います。
そのため水タバコが決定的に健康に対して害があると言い切れる事例はあまりなく、これから研究が進むことと思われます。
しかし水タバコは嗜好品、ニコチンや一酸化炭素などの有害物質は含まれているので、全く吸わないよりは発症率が高くなる可能性があります。
水タバコによって肺がんになる可能性はある
水タバコは水をフィルターにしているから害はほとんどないといわれがちですが、タバコであることは間違いありません。
一般的な紙巻きタバコが肺がんに繋がっていると考えられているのは、ニコチンなど約70種類もの有害物質の影響が複雑に絡み合っているためです。
水タバコと言えど有害物質はゼロではなく、未だ未解明のものが含まれているかもしれません。
タバコ葉を燃やしているということは、どんな形であれ有害物質が発生しています
有害物質が少ないからと油断せず、少しでも含まれているという意識は持っておきましょう。
タバコに含まれている主な発ガン性物質は「タール」
タバコには多くの有害物質が含まれていますが、その中でも発がん性が強いのが「タール」。
タールとは物質名ではなく、歯やフィルターを茶色く変色させる目に見えない程度の粒子の呼称です。
そのタールには「ベンツピレン」、「アミン」など様々な発がん性物質が含まれています。
それらは健康な細胞をがん細胞に変える働きがあります。
定期的に吸い続け、喫煙歴が長くなれば長いほどガンの発生確率は増加するとされます。
肺がん以外のがんの発症リスクもある
タバコによる健康への悪影響は、肺がんだけではありません。
胃がん、食道がん、子宮頸がんなどはもちろん、妊婦が喫煙してタールを接種すると早産や発育遅延など数々の悪影響があります。
水タバコではあっても、紙巻きタバコと同様の発症リスクがあると考えるのが無難です。
肺がん以外の水タバコで引き起こされやすい病気

水タバコが原因で引き起こると考えられる病気は、肺がんだけではありません。
ここでは肺がん以外の水タバコによる害をご紹介します。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
COPDは気管支が狭くなることで、息苦しさや動悸がする病気。
生まれつき気管支が狭く、COPDにかかりやすい人もいますが、最も注意すべきは喫煙習慣です。
別名タバコ病とも呼ばれているほどタバコの影響は強く、喫煙期間が長期になればなるほどかかりやすくなります。
COPDになると息苦しさを感じる、少しの運動で息切れする、咳や痰が止まらないなど日常生活に支障が出てきます。
死者数は増加傾向にあり、本人がCOPDに気づかないまま重症化していることも多いので注意が必要です。
さらに、COPDは新型コロナウイルスが重症化しやすい基礎疾患のひとつであることも頭に入れておきましょう。
気管支炎
気管支炎は気道や気管支に炎症が起きる病気です。
気管支に炎症が起きる原因は喫煙だけでなく、アレルギーや感染症など多岐にわたります。
気管支炎によって痰の分泌が盛んになると、ゼーゼーとした呼吸音になったり、気道を防いで呼吸困難になる可能性があります。
肺炎など他の病気に至りやすいため、気管支炎になったら検査が必要になります。
ゼーゼーヒューヒューと呼吸音に違和感を感じたら気管支炎の可能性大なので、呼吸器科などで治療を受けましょう。
メタボリックシンドローム
タバコは呼吸器に対する影響が強いと思われがちですが、メタボリックシンドロームにも大きなリスクがあることがわかっています。
とくに糖尿病との関係は深く、血糖値を下げるインスリンを減らす作用があります。
さらに脂肪燃焼ホルモンの働きを阻害されることで、どんどん内臓脂肪が使われず蓄積し、脂肪分解酵素の働きまで低下させます。
タバコに含まれる有害物質は単体で悪影響があるだけでなく、相乗的にメタボリックシンドロームの進行を早めます。
水タバコであっても、その影響はゼロとは言い切れません。
メンタルヘルスへの悪影響
具体的な病名ではありませんが、喫煙によるメンタルヘルスへの悪影響が徐々に解明されてきています。
これは水タバコであっても例外ではなく、とくにニコチン含有量が多いダークリーフ系フレーバーを常用している場合は要注意です。
ニコチンは脳からドーパミンを放出する作用があるため、ニコチンが切れるとイライラしたり攻撃的な精神状態になるリスクがあります。
「吸ったほうがストレス解消になる」「禁煙の方がストレス」と言う人がいるのは、まさにニコチンに依存している証拠でしょう。
ニコチン切れによるイライラをニコチンで抑えているだけなのです。
この悪循環がメンタルへの影響を及ぼし、ニコチン依存を加速させてストレスを蓄積させます。
逆に「禁煙はストレス低下に効果がある」との研究もあります。
抗うつ薬と同等かそれ以上との意見もあり、今後もタバコとメンタルヘルスの関連性は要注目です。
水タバコとの上手な付き合い方とは?

健康への悪影響はあっても、気にしすぎていたら嗜好品は楽しめません。
水タバコ含むどの嗜好品であっても、健康への悪影響を理解しつつ楽しめる方法はあります。
最後に水タバコと上手く付き合うやり方について解説します。
とにかく吸いすぎないことが大事
水タバコによる依存症や引き起こされる病気は、すべて吸いすぎによって起こるものです。
人間の体には自浄作用や免疫力がありますが、その力を超えるほど吸いすぎるから健康被害が起こります。
また水タバコであっても、吸いすぎることで依存度も高くなる点に注意が必要です。
吸いすぎると吸わない間にストレスがたまり、そのストレスを水タバコで抑える悪循環に陥ります。
水タバコはストレスを解消するために吸わず、普段のご褒美や癒しを目的にするのが依存しないコツ。
水タバコは1回あたりの喫煙時間が長いので、頻度は週2~3回程度に抑えてまったりと楽しみましょう。
十分な休憩を挟みながら吸う
水タバコは連続で吸っているとシーシャの減りを早め、どんどん吸いすぎを加速させます。
また水タバコを連続で吸うと、頭がクラクラしたりめまいが起こるヤニクラの原因になります。
そのため適度に休憩をはさみつつ吸うのがおすすめです。
水タバコを吸っている瞬間だけ楽しむのでなく、吸わない間にシーシャカフェやバーの雰囲気を楽しみながら深呼吸するのがポイントです。
メリハリを付けてシーシャを吸うことで、ヤニクラなどのトラブルを起こさずかつよりフレーバーを楽しめます。
嫌がっている人を無理に誘わない
水タバコには健康に対して未解明な部分も多く、リスクは確実にあります。
わずかであっても健康へのリスクがある以上は、将来的に一緒に吸った人や副流煙で悪影響が出る可能性は否定できません。
「シーシャバーは楽しいから」「美味しいから」と乗り気ではない人を誘うのはやめましょう。
とくにすでに基礎疾患を持っている人を無理やり誘うのはNGです。
自分以外の人が水タバコによって悪影響を受けても責任はとれないため、無理に誘わないことが大切です。
肺がんのリスクを考慮しつつ適度に水タバコを楽しもう!

水タバコに含まれている有害物質の量はフレーバーによって左右されるうえ、解明されていないことがたくさんあります。
そのため、水タバコによる肺がんや他の病気のリスクはゼロとはいえません。
またシーシャバーやカフェでは喫煙OKなところもあるので、副流煙の影響もあります。
紙巻きであっても水タバコであっても、どんな形態でもタバコは嗜好品です。
健康リスクはあるものの、吸いすぎなければそのリスクは最小限に抑えられます。
適度な休憩と頻度を保って、水タバコを楽しみましょう。